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【ヤマト運輸vsAmazon】『ドッグファイト』感想

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ヤマト運輸の働き方が見直されています。

 

あまりの配達量の多さにラインがパンク寸前(いやもうしている)な状態で、従業員数の少なさがそれに拍車をかけているそうです。

 

配達量の多さで目立つのは、何と言っても通信販売大手のAmazon。僕も愛用させてもらっています。

Amazonの有料会員(プライム会員)になるとお急ぎ便が利用でき、早ければ頼んだ商品が翌日に配送されるなど、消費者にとっては「安くて・早くて・安心」のサービスが受けられるようになっています。

 

Amazonは在庫管理などをほとんど人の手を使わず行っていると聞きます。なるほど文明は進んでいるなと感心したりもするのですが、こと配送に関しては状況が異なります。

昔もいまも変わらず、配送は全て人の手によって運ばれます。ドライバーが一日中走り回ることで、注文した商品が消費者に届けられるのです。商品管理は人間の負担が減りましたが、配送への負担は増える一方です。

 

しかし、これからネット注文が増えることがあっても減ることはまずないでしょう。

お店で買うよりも安くて、外出する手間もないですし、在庫をスマホやパソコンで確認できるのはとても便利です。かつ翌日配送可能であれば、リアル店舗に足を運ぶ人は減っていくでしょう。

 

増える注文数に対して、ドライバーの数は減少しています。ヤマト運輸は増え続けるAmazonの注文に対して、限られた人材で回していくしかないのです。

 

もしかするとAmazonは運送会社をいいように扱う時代が来るかもしれません。

 

そんな近しい未来を描いた作品『ドッグファイト』を読みました。

ちなみに直接企業名を出せないので(分かりやすい大人の事情)、Amazon=スイフト社、ヤマト運輸=コンゴウ陸送という名前で登場します。

 

 

内容について

物流の雄、コンゴウ陸送経営企画部の郡司は、世界的外資系ネット通販会社スイフトの配送利益率が著しく低いことに危機感を抱いていた。上司に進言したところ、入社18年目にして初めて営業部への異動を命じられ、スイフトの担当課長となる。するとすぐにスイフトの女性執行役員・堀田から、生鮮食品の直売を始めるプランを明かされた。取扱量は増えるものの膨大な設備投資を強いられるその計画を、コンゴウ陸送は苦渋の決断で呑む。スイフトの合理的すぎる企業姿勢に反抗心を抱いた郡司。打倒スイフトを目指し考え抜いた秘策は、買い物難民を救い、商店街を活性化するとともに、世界に通ずるものだった―。

 

著者について 

楡 周平:1957年生まれ。米国企業在職中に『Cの福音』で衝撃デビューし、一躍脚光を浴びる。著書に『Cの福音』『クーデター』『猛禽の宴』『クラッシュ』『ターゲット』『朝倉恭介』の6巻からなる「朝倉恭介シリーズ」のほか、『フェイク』『クレイジーボーイズ』『プラチナタウン』『修羅の宴』『ミッション建国』『砂の王宮』『和僑』など多数。

 

リアルな配送の未来を描いた作品

この作品はフィクションなのですが、実際に起こりうる今後の配送業界についても描かれている、リアルに近い作品です。

 

スイフト(Amazon)が生鮮食品の直売をコンゴウ(ヤマト運輸)に提案するところから物語は始まります。生鮮食品は家電や家具とは違い、生物を取り扱うことになりますので、管理が非常に難しくなります。またスイフトの意見としては、主婦層をターゲットに、夕飯時に頼んだらすぐ来る「当日配送」をするよう案が出されます。

 

当然コンゴウはその提案に待ったをかけます。

なぜなら、いまの物量にプラスして生鮮食品を取り扱うことで、確実に会社がパンクするのが目に見えていたからです。

 

増える物量、減るドライバー。

理由は先ほども述べましたが、作中でもドライバーがなぜ人手不足なのか書かれています。

 

きつい仕事を嫌うのは最近の若者の傾向だが、物流業界はその典型例だ。特に、勤務時間が長く、不規則になりがちな大型トラックのドライバーの人手不足は深刻で、平均年齢は四十四歳を超え、年を追うごとに上がるばかりだ。

加えて、重大事故が起こる度に、労働環境に対する規制は厳しさを増す。いまでは一日の休息時間は八時間以。同じ料金で同じ量の荷物を運んでいれば採算は悪化する。当然それは、ドライバーの給与に跳ね返る。

それがドライバー不足に拍車をかけるという悪循環に繋がっているのだ。

 

スイフトの無茶とも言える提案にコンゴウはどう立ち向かうのか。

事業買収などの専門用語も飛び交い、リアルな作品となっています。

コンゴウの郡司(主人公)が、スイフトの堀田との議論の掛け合いが面白かったです。まさに机上の論争、Amazonとヤマト運輸のドッグファイトが見られた作品でした。 

 

ラストのネタバレになりますが、最後のセリフが痺れました。

 

「いいでしょう。一緒に考えましょうよ」

椅子を勧めた。「スイフトに止めを刺す方法をーーー」

 

詳細はぜひ本を読んでお確かめください。

それではまた!