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【辞書作りに命を賭した人たちの物語】『舟を編む』感想

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ひとつのことに黙々と没頭できる人は魅力的です。職人気質な人が大好きで、自分の世界を持っている人には尊敬の念を抱くことだってあります。

『舟を編む』という本を読みましたが、上記に挙げた人たちが活躍する様子を描いた作品です。

 

 

 

 

内容紹介

玄武書房に勤める馬締光也は営業部では変人として持て余されていたが、新しい辞書『大渡海』編纂メンバーとして辞書編集部に迎えられる。個性的な面々の中で、馬締は辞書の世界に没頭する。言葉という絆を得て、彼らの人生が優しく編み上げられていく。しかし、問題が山積みの辞書編集部。果たして『大渡海』は完成するのか──。言葉への敬意、不完全な人間たちへの愛おしさを謳いあげる三浦しをんの最新長編小説。 --このテキストは、単行本版に関連付けられています。

 

辞書作りを生業とした人たちが、文字と向き合い、「大渡海」という一冊の辞書に人生をかけた物語。

 

正直、辞書を意識したことは、僕の人生でまずありませんでした。

物心ついたときにはパソコンがありましたので、わからないことはとりあえず検索していました。ですので、辞書を引くこと自体が「時代遅れだな」などとも思っていました。

いつしか辞書派vs検索派という二代流派の構図が出来上がっていたようにも思えます。

 

今作では僕があまり意識していなかった「辞書」がテーマです。

 

舟を編むの名シーンで、主人公・馬締に「右の意味を説明せよ」という場面があります。僕の中では、「え、右は右でしょ?...」と思うのですが、当然それでは辞書に載せることができません。

馬締は「右とは北に向いて立った時、東に当たる方」と答えました。これには思わず感嘆の声が漏れました。なるほど確かにそうだ。

 

そんな感じで、言葉の意味をどのように表現するか、主人公たちは日々その繰り返しの中で過ごしていました。まさに文字の海を渡る舟を編んでいたのです。

 

 

辞書を作るなんて、僕の人生では全く持って関係のないことだと思っていました。

しかしこの「舟を編む」という作品を読んで、改めて言葉の意味を知る大切さを感じました。誤解を生まぬよう、正確な意味を理解することがどれだけ大変なことなのか。

 

辞書に人生を捧げる

言葉の海を渡って、彼らは十年以上も辞書作りに心身を捧げます。一冊の辞書にかける時間は途方もなく、出来上がった後には「改訂版」としてまた文字と闘い続けるのです。

 

どうして辞書に人生を捧げることができたのでしょうか。

文字が好きだから?辞書が好きだから?

正直にいって僕にはなかった(意識していなかった)視点でした。それゆえに辞書作りにかける登場人物たちは、地味ではあったけどとても魅力的でした。

 

馬締がまったく向かない営業から辞書作りの部署に転身したのは、まぎれもない人生のターングポイントだったと思います。

 

過去作品との関連性

以前読んだ三浦しをん先生の『私が語りはじめた彼は』では、不倫がテーマでした。不倫した男を中心に家族や周囲の人間関係を様々な視点で見た作品です。

不倫と辞書。

一見何の関連性もないように思えますが、「男」を様々な視点で見ることと、「文字」を様々な視点で見るという点については非常に似ていたなと思いました。

ある一点において、深く掘り下げてくれるのは三浦先生の作品の特徴のひとつだと思いました。

 

読むときは映像を見てから

映画化されていることからこの本を取りました。

最近、僕が小説を読む前にやることがひとつだけあります。

それは映像化しているキャストの画像を見ることです。

 

脳内で登場人物が浮かび上がると、様々な場面をより想像しやすくなるなと思います。映像化されていれば、実写であろうがアニメであろうが関係なく、とりあえずチェックすることにしています。さらに声も想像できればなお良し、なのでPVを観てから作品を読む、なんてこともしています。

 

「原作のイメージが壊れるからそんなことはしない」派の人もいるかもしれませんが、登場人物が多い作品であればあるほど、この手法はおすすめです。画像が思い浮かぶことで、途中でこんがらがることが少なくなるはずです。

 

まとめ

ネットでのレビューが高く、実際に読んでみても面白かったと思える作品でした。

映画だけではなく、アニメ化もされているみたいなので、アニメ好きな人にもおすすめの作品ですね。

いままで辞書作りを意識した人なんてほとんどいないはずです。ぜひ知らない世界を知るためにも、この本を手に取ることをおすすめします。

 

それではまた! 

 

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