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【ピース又吉が本を読む理由が強烈過ぎる】『夜を乗り越える』感想

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毎日続けていることってありますか?

僕はランニングと読書を毎日続けています。2017年に入ってから一日も欠かすことなく継続中です。

継続している理由はかくかくしかじか。とにかく休まず続ける!と自分の中で意思はがちがちに固まっているので休みません。

 

あることが習慣化するまでに、ある程度の時間と理由が必要だと思います。

 

「なぜ本を読むのか?」

 

そんなシンプルな帯文に誘われて手に取った本が、『夜を乗り越える』でした。

 

 

 

 

内容紹介

芸人、芥川賞作家・又吉直樹 初の新書 

芸人で、芥川賞作家の又吉直樹が、
少年期からこれまで読んできた数々の小説を通して、
「なぜ本を読むのか」「文学の何がおもしろいのか」
「人間とは何か」を考える。

また、大ベストセラーとなった芥川賞受賞作『火花』の
創作秘話を初公開するとともに、
自らの著作についてそれぞれの想いを明かしていく。

「負のキャラクター」を演じ続けていた少年が、
文学に出会い、助けられ、
いかに様々な夜を乗り越え生きてきたかを顧みる、
著者初の新書。

 

本は必要なものでした 

本は僕に必要なものでした。本当に必要なものでした。自分を不安にさせる、自分の中にある異常と思われる部分や、欠陥と思われる部分が小説として言語化されていることが嬉しかった。「自分は変ではない。あるいは、人なんてみんなどこか変な面があるのだ」と知ることができました。本は自分の生活に直接反映されるものでした。

 

僕の話ですが、本を積極的に読み始めたのは中学の頃からだったと記憶しています。中学生ながら読んでいた本は自己啓発本。何がどう影響して自己啓発に手を出したかは覚えていませんでしたが、頭がよくなりたいとか成功したいとか、そんなことを考える学生でした。

また思春期ながらのコンプレックスが強烈に頭角を表わした時期でもあったので、自分を矯正するために本にすがっていたのかもしれません。

 

本に求めることは人それぞれ違います。

又吉さんが本を必要と感じていた理由は、自分を肯定するためでした。「肯定する」というと表現が変かもしれませんが、作中で登場人物と自分の状況が被る部分があると、たまらなく面白いと感じるそう。とくに共感した作品は太宰治の『人間失格』だったと述べられています。

 

自己啓発でも同じです。著者が書いている内容と、実際に自分の生活で実践している内容が合致したときに、「俺のやっていたことは間違いではなかったんだ!」と肯定されたときに、脳内で何らかの快楽物質が分泌されます(たぶん)。多くの人が自己啓発にハマってしまうのは、自分のやっていることを肯定されるからではないでしょうか。

 

自己啓発に限らず、物語を読んでいくにあたり、主人公に自分を投影することは誰しもがすることです。そこで「私だったらこうする」 という空想を与えてくれるような本は、やはり面白いですよね。又吉さんはそういったことを本から学んだといいます。

その学んだことが、本業のお笑いにも活きて、そして自ら小説を書き上げ、芥川賞という素晴らしい賞を受賞できたのです。

 

決して成功するために本を読んでいたわけではなく、楽しいから・面白いからという理由で読み続け、いまの結果に繋がったといいます。

 

共感主義は脱ぎ捨てろ!

自分の感覚にはまるものがおもしろい、それ以外はおもしろくないというように読んでいくと、読書本来のおもしろさは半減してしまうと思います。読書のおもしろいところは、主人公が自分とは違う選択をすること相談できることや、今まで自分が信じて疑わなかったようなことが、本の中で批判されたり否定されたりすることにあると思います。

 

最初から否定の感情を持って作品に触れてしまうと、いくら面白い作品でも面白さは半減してしまいます。

満腹の状態で高級料理を食べても味が分からなくなってしまうように、読書も楽しんで読める状況でなければ受け取れる感覚もまた鈍ってしまうのです。

 

「この作品はレビューも低いし、絶対につまらない作品だ」と決めつけて本を読むのと、「この作品は出会ったことのない面白い作品かもしれない」と読むのとでは楽しみ方が違ってきます。読書の楽しみ方は人それぞれですが、少なくとも自分から楽しさを捨てるような読み方はしたくないものです

 

また「共感できない」という感想を持つことの危険性を文中で説いて居ます。共感できないということは、発展途上の自分がわからなかったことの幅を広げるためのチャンスでもあるのです。それを「共感できない」の一言で済ませるのは、作品にとっても失礼に当たるのではないでしょうか。

「共感できない」という否定の感想を持つよりも、「そういう考えもあったのか」という感想を持った方が、人間もっと成長できるかもしれませんね。

 

過去の自分と向き合って

とても芸人が書いた文章とは思えない、丁寧で読みやすく、熱中して読める文章でした。いかに本に長く触れ、そして多くのことを感じ取ってきたのかが目に見えるような一冊だったと思います。

彼が本と共にどのように人生を歩んできたのか。本の付き合い方を書いた素晴らしい本です。読書好きの方はぜひ読んでほしいですね。そして僕はまだ火花を読んでいないという...読まねば。

 

それではまた!

 

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