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【実家暮らしは危険信号。人生何も変わらないよ】『家族ゲーム』感想

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自分を変えるためには、1.仕事を変える 2.住む場所を変える 3.付き合う人を変える。おおよそこの3つのことさえクリアすれば、すぐにとは言えないが、間も無くすると今まで出会えなかったもう一人の自分に出会えるはずである。ちなみにソースは俺。

 

ちょっと前に嵐の櫻井翔主演でドラマ化までされた『家族ゲーム』という本を読みました。この作品自体1980年代に出版された小説ですが、最近のドラマ化とあって記憶に新しかったし、馴染みもありました。

 

 

内容紹介

出来のいい“ぼく”と違って、グズな弟は、家庭教師を何度かえても効果なし。高校進学をひかえ、何とかしたいと焦る母。6人目の家庭教師・吉本の出現で、ついに変化が! 経歴も風貌も型破りな吉本は、弟を逃がさず、体育会系ノリで徹底的にしごいていく。両親の期待は弟にうつり、優等生だった“ぼく”は、だんだん勉強をサボリ気味に……。受験に振り回される一家を描く、第5回すばる文学賞受賞作。

 

時代を越えて愛される作品

おおよそ30年前に書かれた作品にも関わらず、いまの時代にもしっかり読める小説だったなと感心しました。

1982年、テレビ朝日にてこの小説を原作とする2時間ドラマが制作される(主演は鹿賀丈史)。後に松田優作主演の映画、長渕剛主演の連続テレビドラマで有名となり、2013年には28年ぶりに連続テレビドラマが放送された(主演は櫻井翔)。

ドラマ化を3回、映画化を1回の計4回ほど映像化されています。2013年とはつい最近で、若干の設定や出演者は違えど、どこにでもあるような家族を描き、強烈な家庭教師が出てくる構図はブレていません。(実際、小説以外読んだことはありませんが)

 

時代を越えても読み続けられる内容がこの家族ゲームにはあります。

 

自分を変えられない少年

学校の成績は悪く、クラスメイトにもいじめられる、まさにのび太的存在の主人公・茂之は出来のいい兄と常に比べられて生きてきました。なんとか出来のいい人間にしようと家庭教師を雇うこと5回。どの教師も茂之を変えることはできず、両親も諦めかけていた。

そんな中、6人目の家庭教師として雇った吉本という男性は違った。

いままでの優しい教師のイメージとは異なり、体育会系のノリで茂之を追い込みます。(今では問題になっていますが)平手打ち、大声で叱るなどは当たり前で、最初は茂之も家族も戸惑います。

面倒見のいい母親は、「ちょっとやり過ぎなのでは?」と言い寄りますが、「任せてください」と吉本は変わらず茂之に勉強を教えこみます。

 

いじめられっ子にいじめられても何も言い返すことができず、進路すら自分で決められなかった茂之に、「自分のことは自分で決めろ」と吉本は言います。

性格や行動が変化し、テストで30点以下の赤点しか取れなかった茂之が40点、60点と徐々に点数を上げることに成功。この家庭教師の元であれば、今まで変えられなかった自分という殻を破り、自分を変えることができるかもしれない。

 

少年が一人の教師に出会い、人間としての成長を描く物語。読み手側からすれば、それで物語が終わればキレイにオチがつくのですが、ラストは大きく異なります。

 

住む場所を変える

20数年を実家で暮らしてきた僕にとっては、家を出ることは非日常であり、親元を離れるということは空想上のことでしかありませんでした。毎日美味しいご飯が自動で出てきて、お風呂も沸いていて、実家暮らしだからお金の管理が大雑把でも全然暮らしていける。

しかしふと「自分を変えたい」と思ったときには、すべて変えるべきだと悟っていました。職場や住んでいる場所。自分を変えるためにはまずその「環境」を変えないことには、周囲に渦巻く悪しき習慣であったり、思考がこびりついて離れない。

実家暮らしはよくも悪くも、温かくもあり、生ぬるい空間でもあります。

僕の実家は、とくにうちのおばあちゃんに関しては本当に優しい。ご飯は用意してくれるし、床で寝落ちしたときには毛布と枕まで用意してくれる。20歳を越えた成人男性にも、10代の少年にも、変わらず同じことをしてくれるわけです。

そんな環境下で、果たして本当の大人になれるのだろうか。

 

ふと考えたときには、職場を変え、アパートに引っ越していました。

 

自分の人生を生きるには

実家暮らしがいけないというわけではありません。たとえ一人暮らしをしていなくとも、自分のことは自分でできる、立派な人も中にはいます。しかしそうでない人が大半なのは、考え方も行動も、すべて家族(他人)に影響されてしまうからです。

茂之は結局、家族ゲームから抜け出せず、自分を何も変えることができませんでした。

 

一時的な強制で成績は良くなっても、自分のやり方では人間を変えることは出来ないと悟った吉本は沼田家を去ることになります。このことから、他人は結局のところ他人でしかない、ということが痛いほど伝わってきます。

 

自分を変えられるのは、他の誰でもなく自分でしかない。

そのことに気づけないまま、茂之の人生はきっとどこまでも堕ちていったに違いありません...。

 

それではまた!