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【社会で生きる全員が読むべき本】『自閉症の僕が跳びはねる理由』感想

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どーも、走るとり(@hashirutori00)です。

 

書店のおすすめコーナーで長い間平積みされていた本を、興味本位で手に取ったら、とても強烈な内容でした。

 

その名も『自閉症の僕が跳びはねる理由』。今まで読んだことのないジャンルの本で、正直ブログの記事にするかどうか悩みましたが、今回はがんばって書いてみます。

 

「自閉症」という決して軽いテーマではないのですが、内容はとてもピュアで著者の気持ちがまっすぐに伝わってくるような、そんな作品であると僕は思っています。

 

内容紹介

「僕が跳びはねている時、気持ちは空に向かっています。空に吸い込まれてしまいたい思いが、僕の心を揺さぶるのです」(本文より)
人との会話が困難で気持ちを伝えることができない自閉症者の心の声を、著者が13歳の時に記した本書。障害を個性に変えて生きる純粋でひたむきな言葉は、当事者や家族だけでなく、海をも越えて人々に希望と感動をもたらした。世界的ベストセラーとなり、NHKドキュメンタリー「君が僕の息子について教えてくれたこと」でも放映された話題作、待望の文庫化!
デイヴィッド・ミッチェル(英語版翻訳者)による寄稿を収録。

 

著者について

東田/直樹
1992年8月千葉県生まれ。会話のできない重度の自閉症でありながら、パソコンおよび文字盤ポインティングによりコミュニケーションが可能。13歳の時に執筆した『自閉症の僕が跳びはねる理由』(エスコアール)で、理解されにくかった自閉症者の内面を平易な言葉で伝え、注目を浴びる。

 

そもそも自閉症って?

自閉症は、社会性の障害や他者とのコミュニケーション能力に障害・困難が生じたり、こだわりが強くなる先天性の脳機能障害。幼少期に発症した場合は、小児期崩壊性障害とされる。脳機能上の異常から認知障害の発症へといたる具体的なメカニズムについては未解明の部分が多い。早期幼児自閉症や小児自閉症またはカナー自閉症と呼ばれることもある。

 

とにかくこだわりが強い(モノの並び・積み上げに強迫的に感じる)、自分の体を傷つけたりと、症状は人によってさまざまで、知識のない人がウィキペディアで知ろうと思っても、底が知れているので諦めました。無駄に偏見をつけるくらいであれば、あえて知る必要はないと思いました。

  

学生だった頃、駅のホームで一人で傘を回していた同級生や、空中に文字を書くちょっとおかしな先輩を見て、「あ、この人普通じゃない」と感じていました。

自閉症の知識のない僕は、決してその人と深く関わろうとはせず、彼らの世界を知ろうともしませんでした。

 

この本は彼らの世界を知るきっかけにもなるし、人として、世界を広げる行為として手に取ることをおすすめしたいです。

 

 

人間は共存しようとする意識がとても乏しいと思う。会社や学校で、少しでも違った人間を排除しようとするところを見ると、とても世界平和なんて願っても叶わないんだろうなと心底思います。

 

かくいう僕も彼らにそういった偏見を持っていたことは否定できないですし、だからこそ今回この本を手に取ろうと思ったんかもしれません。

 

どうして何度言っても分からないのですか?

怒られてしまった時には、またやってしまったと後悔の気持ちでいっぱいですが、やっている時には前にしたことなどあまり思い浮かばずに、とにかく何かにせかされるようにそれをやらずにはいられないのです。

みんなは、僕たちのことをこりないと思っているのでしょう。みんながあきれているのも、悲しんでいるのも分かっています。分かっているのにやめられない僕たちですが、どうかこりないで下さい。

みんなの助けが僕たちには必要なのです。

 

社会に出たばかりの人が上司から叱責を喰らう。経験に乏しい新人は何度も同じミスをしてしまい、その度に上司に怒られる。

挫折と後悔を味わいながらも成長していくのが仕事です。

 

ここまでであれば僕にも、なんとなくは想像できました。たぶんこんな感じだろうなと。

 

しかし著者が言っていることが、そんな甘い現実ではないことも十分わかっています。

 

その挫折、後悔が平日休日問わず毎日襲いかかってくる。仕事もプライベートも関係ない、部下も上司もいない世界で「何度も言わせるな」と。

 

一番悲しいのは、自覚があるのにそれをやめられないこと。

僕らはそんな彼らの気持ちを少しでもわかろうと努力はしたのでしょうか。 

 

会社はやめることはできても、人生をやめることはできないのに。

 

どうして上手く会話できないのですか?

僕たちは、自分の体さえ自分の思い通りにならなくて、じっとしていることも、言われた通りに動くこともできず、まるで不良品のロボットを運転しているようなものです。いつもみんなにしかられ、その上弁解もできないなんて、僕は世の中の全ての人に見捨てられたような気持ちでした。

 

言葉が通じない孤独を味わったことがありますか。海外でのことを言っているのではありません。同じ日本の、同じ血の通った日本人との会話で、相手の言葉が理解できないといった経験を味わった人がどれだけいるか。

 

ほとんどの人が、普通に話して、普通に笑ったり泣いたりしています。

 

ある日それができなくなったら?

 

とても想像ができません。

 

何が一番辛いですか?

何かしでかすたびに謝ることもできず、怒られたり笑われたりして、自分がいやになって絶望することも何度もあります。

僕たちは、何のために人としてこの世に生まれたのだろうと、疑問を抱かずにはいられません。

側にいてくれる人は、どうか僕たちのことで悩まないで下さい。自分の存在そのものを否定されているようで、生きる気力が無くなってしまうからです。

僕たちが一番辛いのは、自分のせいで悲しんでいる人がいることです。

 

電車の中で大声で話している人がいました。

 

「誰と話しているんだよ、うるせーな 」

 

そう思って見てみると、中年の男性が一人で話していました。実際には「話している」というよりは「言葉を発していた」が正しいのですが。

 

その光景を見て、思わず隣にいた友人と目を合わせて「あの人やべぇよ」と、言葉を交わさず、アイコンタクトをしたことを覚えています。

 

あのときの僕には想像力が欠如していました。

 

声に出していた男性にも、もしかしたら自覚があったのかも知れません。

人に迷惑をかけるかも知れない、それでも電車に乗らなければいけない何らかの理由があったのかも知れない。

他人に頼ることができず、公共の交通機関を使わなければいかず、何とか電車に乗ることはできた。

 

「可愛そうな人だな」と同情の念を持つ必要はありません。

「そういう人だっている」という認識を持つことが大切なんです。

 

自閉症についてどう思いますか?

僕は、自閉症とはきっと、文明の支配を受けずに、自然のまま生まれてきた人たちなのだと思うのです。

これは僕の勝手な作り話ですが、人類は多くの命を殺し、地球を自分勝手に破壊してきました。人類自身がそのことに危機を感じ、自閉症の人たちをつくりだしたのではないでしょうか。

僕たちは、人が持っている外見上のものは全て持っているのにも関わらず、みんなとは何もかも違います。まるで、太古の昔からタイムスリップしてきたような人間なのです。

僕たちが存在するおかげで、世の中の人たちが、この地球にとっての大切な何かを思い出してくれたら、僕たちは何となく嬉しいのです。 

 

みんな違ってみんないい。

どこかで聞いたような詩が頭に浮かびます。

相手との違いを「個性」と認めることができたのなら、どれだけの人が生きやすくなるのでしょうか。

 

まとめ:とても綺麗な作品です

人は見かけだけでは分かりません。中身を知ればその人とももっと仲良くなれると思います。

自閉の世界は、みんなから見れば謎だらけです。少しだけ、僕の言葉に耳を傾けてくださいませんか。

そして、僕たちの世界を旅してください。

 

上の文章は、本書の冒頭部分から引用しました。「僕たちの世界を旅してください」とあるように、この本には普段体験することのできない、もうひとつの世界があります。 

 

自閉症という障害を持った人に優しくしてくださいね、と唄った本では決してないことをまず頭に入れて読んで欲しいです。その上で、彼らには彼らの「素晴らしい世界」があることを知ってもらいたい。

著者が13歳のときに書いた心の声が、いまこうして多くの人に読まれているのは本当にすごいことだと思います。

 

まだまだ僕の知らない世界がそこにはありました。

 

それではまた!

 

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