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【仕事を選ぶか、死を選ぶか】『ちょっと今から仕事やめてくる』感想

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よくいく書店で人気ランキング3位ぐらいに並んでいたので手に取りました。

第21回電撃小説大賞 <メディアワークス文庫賞>受賞作品。そういえば昔はよくライトノベル読んでたっけなぁ。そんなことを思い返しながら読みました。

 

読んでほしい人

・サラリーマン

・会社を辞めたい人

・ブラック企業に勤めている or  勤めている知り合いがいる

あらすじ

主人公はブラック企業に勤めている20代のサラリーマン「隆」。心身ともに衰弱しきった隆は無意識に線路に飛び込もうとしたところを「ヤマモト」と名乗る男に助けられる。同級生を名乗る彼だったが、本物の「ヤマモト」は海外在住中ということが発覚。なぜ赤の他人がここまでしてくれるのか。調べていくうちに彼の本名がわかり、ネット検索で出てきたのは、三年前に激務で自殺した男のニュースだった。

 

「ヤマモト」って誰、どうして俺のことをそんなに気にかけてくれるのか。ブラック企業での労働に苦しみながらも「ヤマモト」という人物に惹かれ、真相を突き止めていく。

 

社会人経験のある人にはぜひ読んでほしい

書店で「ちょっと今から仕事やめてくる」というタイトルを見かけて、これはブラック企業ものの本だと瞬間的にわかりました。社会人になれば誰しも会社に不満を抱くものだし、最悪な場合だと主人公みたいに死を選ぶことも今のご時世珍しくありません。

僕自身も会社勤めのサラリーマンなので、主人公の置かれた環境を想像することはそう難しくはありませんでした。むしろ身近に物語にあるような「死」を感じることもできました。

本を読んでいるときは緊張してましたね。上司の理不尽な叱責はどこの企業でも存在する悪習です。そんなことを思い出しながら読みすすめました。

働くことも一種の才能

「スポーツの体力的な厳しさと、社会に出てからの厳しさなんて全くジャンルが違うだろ。先輩はたまたま、そっち方面のプレッシャーに弱かったんだよ。それか、よっぽど会社との相性が悪かったんだね」

「そうかなあ」

「先輩にはアメフトの才能はあったかもしれないけど、サラリーマンの才能はなかったってこと」

誰でもなれるのがサラリーマンですが、誰でも続けていくことができるかといえばそうではありません。会社の指示に従い、上司の理不尽に耐え、人生を削ってお金を稼ぐ。そこにやりがいを感じて働いている人がこの世に何人いるんでしょうか。同じ時間に同じ場所に週5日通い続ける。場合によっては休日も削って会社に出勤する。言い方を変えてしまえば奴隷と一緒です。そこに喜びや楽しさ見いだせるのは本当に才能だと思います。

社会人の半分以上が、転職経験があるとのデータもあるように、今の職場を離れて新しい可能性にかける人は半分以上に昇ります。

 

学ぶべきは逃げ方

とにかく、仕事を辞めるってのはそんなに簡単なことじゃないんだ」

「じゃあ、なによりは簡単なわけ?」

「どういう意味?」

「隆にとって、仕事辞めることと比べたら、何のほうが簡単なん?」

「何のほうって

「隆にとって、仕事を辞めることと、死ぬことは、どっちが簡単なわけ?」 

物語が進んでいくと「ヤマモト」も身近な人をブラック企業に命を奪われた一人でした。冒頭で自殺しようとしていた隆を「ヤマモト」は他人にように思えなかったわけです。

「死」と「仕事」、比べるにはスケールが違うなと思う方もいらっしゃるでしょうが、「電通」のキーワードは記憶に新しい事件です。「死」と「仕事」は密接に絡み合っています。

 

media.sairilab.com

 

 

「私が一番悔やんでいるのはね、あの子に大切なことを、教えてあげられなかったこと」

「一番最後にね、あの子と電話で話した時、私、言ったのよ。『大丈夫よ、あなたなら』って。本当に無責任よね。あの子はもう、大丈夫なんかじゃなかったのに。ダメだったら辞めてもいいのよって、言ってあげられなかった。あの子の苦しみに気づいてあげられなかったの」

「逃げ方を知らなかったあの子は、会社を辞めることも、誰かに相談することもできずに、自ら人生を降りてしまった」 

たしかに最近の若者は根性がない人が多い。戦う力を持たない軟弱な人が多いのも事実。それでも頑張る力を持った真面目な若者だっています。そういう真面目さ漬け込んで追いやろうとす大人や社風があるんです。

そういったとき一番大切なのは戦う力よりも逃げ方をしっておいた方がいいのです。

 

私が生きてるのは、「その労働環境はおかしい」って外部の視点提供してくれる夫がいたからで、そうでなければ会社のパワハラで社会人一年目の時点で自殺してただろうなあっていうのはすごくすごくよく分かる。会社を辞めるより死ぬ方が解決策として簡単に見えるんだよ。会社を辞めようとすると、どうせ引き留められて責任感がないって罵詈雑言はかれてパワハラセクハラされるじゃん。残業でくたくたになった人間にそれが耐えられるわけないじゃん。死ぬ方が楽だし手っ取り早い解決策じゃん。超分かる。 16-10-08

 

とあるツイッターの投稿より。

仕事のストレスに耐えられるわけがないという表現があるように、人間には許容範囲が必ず存在します。許容範囲を自分で気づくことができない人はかなり多いです。そんなときは周囲の人が支えてあげたいものです。この本を読んだ人が誰かにとってに「ヤマモト」なれたらいいなと思います

  

まとめ

精神的に追い詰められると視野も選択肢も狭くなる。そうなったら周り人は「大丈夫だよ」と声をかけるのではなく「逃げたっていいんだよ」と声をかけてあげよう。

文量も多くないので、サクッと読むことができました。仕事で悩んでいる人はぜひ読んでみてください。最後の隆の言葉が心に突き刺さるはずです。